2015年介護保険制度改革への意見

 少子高齢化の進展で、高齢社会を支えてきた現役世代が減り、高齢者が急増する社会を迎えている。給付と負担の関係が大きく変化する中で、社会保障制度改革国民会議は、負担のあり方を「年齢別から能力別へ」とする報告書をまとめた。これを受けて社会保障制度審議会・介護保険部会が集中的に開催され、近く報告書が出される段階となっている。

 在宅で最後まで暮らし続けたいという高齢者の願いを実現するための「地域包括ケア」の推進や「認知症対策」「人材の確保」など、待ったなしで進めなければならない課題には財源を含めて積極的な対策を強く求めたい。一方で、利用料金の1割から2割への引き上げや、予防給付をなくすことなど、多数の高齢者の生活に影響を与える内容を含んでいる。高齢者が安心して暮らせる地域社会とそれを支える介護保険制度の実現に強い懸念を感じている。以下3点について意見を述べることにする。

(1)予防給付を廃止し市町村事業へ移行することに反対する。
 支援1・2と認定されている人は140万人~150万人と数が多い。給付があって何とか生活を維持している人がいるという現実を見るべきである。予防給付をなくせば、多くの人の暮らしに影響が出る。政府は、予防給付をなくし市町村事業に移行することで予防効果が上がると説明する。果たしてそうか。予防事業となれば、給付と違い、予算の範囲内のサービスに留まることになる。費用が足りなくなることを懸念する市町村は、サービス量を少なくしたり、専門職を利用せず安上がりのサービス提供で質が担保されない可能性も高い。市町村の予防事業がうまくいかなければ、要介護者の急増というしっぺ返しとなる懸念が大きい。

 政府は、市町村事業への移行を確実なものにするために、財源も含めて介護保険の枠内であると説明している。社会保険にとって給付は保険料を支払っている人の権利である。予防とは言え、給付を認めないことは、要支援1・2の方々の権利を奪うことであり、社会保険からの排除ではないか。

前回の制度改正(2012年4月)で導入された「介護予防・日常生活支援総合事業も同様の狙いだったはずだ。その検証がない中での性急な導入であり、認めることはできない。

(2)一定以上の所得のある人の利用負担を2割にすることに反対する。
 払える能力がある人が払うという応能負担を支持する私たちの立場からは、負担能力のある人は負担すべきという議論は理解できる。しかし、介護保険制度の導入は、福祉として措置していた時代から、経済状況や家族状況を考慮せずに、給付が必要な状態になったら誰でも利用できる「社会保険」への移行だったはずではないのか。社会保険である以上、保険料を支払っている人は平等に給付を受けられるべきだ。すでに保険料の負担が所得に応じたものになっている。その割合が低いというなら保険料負担を改めるべきだろう。

 また、1割負担でも利用を控えている人がいるという事実もある。2割負担は一定の所得のある人にお願いする措置とはいうが、給付の自己抑制につながることは十分予想される。その際の介護負担は家族や本人に及ぶことになる。介護の社会化とも矛盾することにならないか。また、重度化を招くことにならないか。

 さらに、一定の所得の基準が曖昧である。医療では現役並みの所得を単身者で383万円、夫婦で520万円としている。なぜ、介護はそれより低い所得で2割負担になるのか、説明が不足している。医療とは違い、いつまで続くか分からないのが介護である。

(3)通所介護の類型化は慎重にすべきである。
 通所介護を類型化し介護報酬にメリハリをつけるという。現時点では具体的な内容は不明だが、機能訓練型とレスパイト型を区別し、レスパイト中心のデイサービスの基準緩和と報酬引き下げ、或いは機能訓練中心のデイサービスの専門職の配置と報酬引き上げが念頭にあると思われる。本来デイサービスは通過施設として、在宅での自立した生活をめざす役割に加えて、高齢者の社会参加の支援や家族の介護負担軽減も重要だと位置づけられた仕組である。レスパイト中心と決めつけ、生活歴等を踏まえた計画的かつ他職種協働で取り組む「生活リハビリ」の有効性を軽視するようなことがあってはならないと考える。

 

2013年11月22日
日本高齢者生活協同組合連合会
第6回常任理事会