命と暮らしの安心を支える社会保障に
日本の未来を明るく照らすビジョンが必要だ

~社会保障への投資が、安心できる社会をつくる~

 福祉元年と言われたのは1973年(昭和48年)です。老人医療の無料化、5万円年金の実現、児童手当制度の発足など、戦後の高度成長がピークを迎え、経済成長に裏打ちされ、税収が上がり続けた時代でした。しかし、社会保障政策に明確なビジョンを持たない歴代の内閣は、政権維持の論理と経済変動に左右され、上がり続ける給付費の抑制だけを繰り返してきました。

 野田政権が政治生命をかける「社会保障・税一体改革」も、2015年に向けた当面の対策にすぎません。財政難を背景に、給付の重点化・効率化の名の下で、医療・介護・年金など高齢者の暮らしに関わる社会保障に、給付抑制と負担増を求め、とても老後の安心を保障するものではありません。子育てや現役世代を支援する職業訓練などの社会保障も、全く不十分な内容です。

 政府は、経済成長のみが国民の暮らしを豊かにすると、戦後一貫して大企業だのみの経済対策に取組み続けています。しかし、バブルが崩壊後の20年、経済は浮揚するどころかGDPは97年をピークに下がり続け、格差が拡大し、貧困が増え、生活保護に頼る人は209万人になっています。TPPをはじめ輸出主導の海外市場に頼る経済成長政策は、いずれ限界を迎えます。成熟した先進国として、経済成長に頼らず、豊かさを実感できる社会のモデルを、世界に示すべき段階に来ているのではないでしょうか。

 今年から、団塊の世代が高齢者の仲間入りをはじめ、高齢社会はいよいよ本番を迎えます。高齢者の急増する社会は、地域や家族の変化と共に、一層の医療・介護給付を必要とします。少子化に本気で歯止めをかけ、将来に向けた国づくりを考えるなら、親の資力をあてにした子育てを改め、医療は勿論、保育や教育の無償化など親の負担を劇的に軽減する社会保障が必要でしょう。

 私たちは、超少子高齢社会に必要な政策は、社会保障の充実・強化であり、国民の暮らしの安心を担保することが最優先だと考えています。その為に、社会保障分野への投資を高め、成長分野と言われる医療・介護・保育や教育分野での仕事おこしを重視すべきです。社会保障は人口動態に強い影響を受けます。若者たちに、まだ見ぬ子どもたちの為に、20年先、30年先の日本社会を明るく照らすビジョンが今求められています。

 次世代に借金を先送りするなと、社会保障財源にあてるための消費税増税が急がれています。安定した財源の確保は不可欠です。しかし、社会保障の本来の機能は、所得の再分配であり、逆進性の強い消費税をあてることは、その本質からみて誤りです。90年代に実施された所得税減税は高額所得者への優遇策で、格差拡大の直接的な要因でした。格差を更に拡大する消費税に安易に頼らず、税の公平・公正な負担や社会保険料の在り方を含めて議論すべきです。

2012年6月2日
日本高齢者生活協同組合連合会 第11回通常総会(福岡総会)