◆障害者運動からの誕生

 1999年に法人を設立し、12年目を迎えています。和歌山には、先進的な実践をおこなっている麦の郷(社会福祉法人一麦会)という障害者団体があります。当時和歌山高齢協が構想された背景には、麦の郷で、障害者を子にもつ親、そして障害者自身もこれから年をとっていく、また、地域社会も高齢化に不安を抱いている、という課題に直面していたことがあります。高齢者も障害者も共に安心して暮らせる福祉をつくるため、高齢協が誕生しました。

 昨年度は、事業高が2億5750万円。事業の中心は、介護保険事業です。事業所づくりは、和歌山市からスタートし、紀北筋は高野山の方面に向けて、西から東へと広がり、その後、御坊市、白浜町、田辺市など、南に向けて事業が広がっています。居宅、訪問、通所が事業の中心で、移送事業や、高齢者住宅にも取り組んでいます。利用者は、介護保険460名、障害者自立支援60名。合計520名の方にサービスをご利用いただいています。

◆キーワードは「楽しさ」と「役立ち」

 元気な高齢者が参加する「生きがい事業」は、この指とまれ方針で、リーダーを中心にできあがってきました。設立当初には、製塩や養鶏事業を実施しましたが、現在は残念ながら中止。高齢者のペースで学べるパソコンサークル、熊野古道を歩く健康づくりハイキング、休耕田を利用した市民農園などに取り組んでいます。毎年恒例で企画される海外旅行も人気で、今年はマレーシア・シンガポールツアーを実施します。

 こうした楽しいサークル的な活動で仲間の輪を広げながら、地域社会に役立つ活動にも力をいれています。例えば、介護保険では対応できない生活ニーズには、退職男性高齢者が中心になって、有償ボランティア的な活動をおこない、年間350件の仕事をこなしています。また、送迎やグループホームの宿直など人手が不足しがちな障害者施設の運営に、元気な高齢者が参加しています。今年度は、障害者をバックアップする高齢者のボランティア組織「ほっとけやん倶楽部」を設立しています。施設側からは、「知識や経験、技能をもった高齢者に参加してもらうことはプラスになる」「子どもにやさしく接してくれる」といった評価をいただき、参加している高齢者も、「現役時代より活き活きしている」「医者通いしなくなった」など、よい関係がうまれています。葬祭事業では、生前予約を実施。組合員の福利をサポートしています。

◆ひとりぼっちの高齢者をなくそう

 以上が、事業活動の概況ですが、今年度の主な取り組みを、いくつかご紹介します。この夏、高齢者の所在不明問題にスポットがあたりました。また、猛暑の中、熱中症で孤独に亡くなる高齢者のニュースも流れました。こうしたシンボリックな問題を受けて、「ひとりぼっちの高齢者をなくす」取り組みに力をいれることにしています。ちなみに、和歌山県は、高齢化率26.4%と近畿でナンバーワン。少子高齢化、県外への人口流出などで、つい最近100万人の人口をきりました。そして、5人に1人が独居高齢者です。今年度は、地域を限定して、元気な高齢者が参加し、声かけ活動や買い物ツアーなどに取り組み、一人暮らしの高齢者をサポートする活動をモデル的に実施して、今後実施地域を広げてゆきます。

◆地域に必要とされる事業所づくりを

 続いて、新設デイサービスのご紹介。和歌山高齢協では、民家改築型のデイサービスを進めてきており、今年5月には、第3番目の拠点として、県南部の田辺市(温泉で有名な白浜町の隣街)に、デイサービス「上秋津の里」を開設しました。地元の方に職員になっていただき、地域密着で活動を展開。現在、ご近所の軽度の方10名にご利用いただいています。事業所のすぐ近くに、会津川の清流が流れ、目の前の山々にはみかんなどの果物畑が広がる自然環境抜群のロケーション。自然も素晴らしいのですが、この地域は市民活動がとても盛んで、校舎を活用した体験交流型グリーンツーリズム施設「秋津野ガルデン」(http://agarten.jp/)が、すぐ近くにあります。住民が活き活きと活躍する秋津野の地域力に学び、つながり、地域の一員として必要とされる事業所へと成長していきたいと思います。kamiakitu

◆高齢者と障害者の共生ホーム

 専用賃貸住宅「おたっしゃ館」の取り組みです。今後は、この事業に力をいれていきます。2年前に紀南の上富田町ではじめて住宅事業に取り組みましたが、施設への入所待ち全国42万人と報じられる通り、大変ニーズが高いです。当面は、和歌山市、新宮市(県南部の三重県に近い街)で準備を進めます。和歌山は新築、新宮は既存アパートの改修を予定しています。また、高専賃単体での事業ではなく、障害者グループホームを併設し、例えば、入居者への配食や建物の掃除といった場面で、障害者の就労を生み出すなど、高齢者と障害者が共生できるホームづくりも目指したいと考えています。高専賃建設は、国も力をいれており、建設費補助が活用できます。otassyakan

◆学習・運動を大切に

 組合員は、2377名となりました。福祉事業や生きがい活動と同時に、仲間とともに学習を深め運動を広げることがとても大切だと思います。新高齢者医療制度では、現役世代と高齢者は、財政的に別勘定にされる、という問題が残ったまま。介護保険改定では、保険料が5000円を超えるといわれ、生活支援の介護保険外しが論議されているようです。制度改定には現実的に対応しつつ、制度がよりよいものになるように、和歌山での仲間づくりを広げ、全国の高齢協や、障害者団体、思いを同じくする民主団体と手をつなぎ、よりよい社会が実現するよう学習や運動に、一層力をいれたいと思います。(専務理事 上森成人)