原発の再稼働に反対します

 レベル7という未曾有の原発事故がもたらした恐怖は、今なお私たちの生活を直接間接におびやかし続けています。生活の基盤を失った原発被災者は4万人を大きく越え、生活再建のめどもありません。立ち入り禁止区域は狭まっていますが、コミュニティや仕事もないところで住み続けることは困難です。農林漁業に関するだけでも、風評被害を含めて東北や東関東を中心に与えた被害は甚大です。補償も全く不十分で、終息のめどもありません。今後も長期にわたり、大変な生活を多くの人にもたらす被害です。なぜ、こんな事故になったのか。安全神話は完全に崩壊しています。

 多くの国民の不安と不信を背景に、5月5日、稼働中だった北海道の泊原発が定期点検に入り、国内にある54基全てが停止しました。金と権力で押さえつけ、封じ込めてられてきた原発反対の声が、国是であった原発推進政策を変えたと評価したいと思います。すでに、脱原発依存は国民的コンセンサスだと言っても良いでしょう。原発依存のエネルギー政策を変更するための総合資源エネルギー調査会が活動をはじめています。脱原発へ向けた歴史的な一歩とすべきでしょう。

 しかしながら、野田総理は5月29日の国会で原発なしでは「国民生活が成り立たない」と、再稼働は不可避であるかの如き発言を繰り返しています。関西広域連合首長会の態度の変化もあり、週明けにも関係閣僚会合を経て「内閣総理大臣の責任」で再稼働を了承するようです。

 「内閣総理大臣の責任」と野田総理は言いますが、その責任のツケを払っているのは、税金を納めている国民であり、東京電力の電力を使わざるを得ない人々です。安易な責任論を振りかざすべきではありません。福島の事故原因の究明も終わらず、事故の後始末や補償には目途もなく、審議がはじまったばかりの規制庁にも全く信頼を寄せることはできない現実を直視し、真摯に国民の声に耳を傾けるべき時ではないでしょうか。

 原発を抱える地域の苦悩は長く続きます。あたかも米軍基地を抱える沖縄のように。これ以上の負担を押し付けるべきではありません。私たちの便利で快適な生活を支えてきたあらゆる仕組みと価値観を改めるところに来ています。作家の野坂昭如さんが「止めたらよい。止めたら知恵が出る」という話をされています。その通りです。グリーンピースジャパンの佐藤事務局長が、1年間稼働を停止する「再稼働モラトリアム」を提案しています。大賛成です。止めたらどうなるのか、私たちは冷静になって考えてみる期間があっても良いのではないでしょうか。急ぐ必要はありません。無尽蔵のエネルギーに支えられた便利で快適なこれまでの生活に向き合い、ひと夏、節電に心がけ、生活の見直しを行うことで、得るものは限りなく大きいでしょう。

 私たちは、国内54基ある全ての原発の再稼働に反対します。そして原発ゼロへ向けたエネルギー政策の転換を求めます。

2012年6月2日
日本高齢者生活協同組合連合会 第11回通常総会(福岡総会)