静寂が恐ろしい

山の静寂が恐ろしい 細い山道で行き交うひともいない。
荒れた山には動物の姿もない 鳴く声さえ聞こえない。
鹿も猿も餌を求めて里へ下りた 生きて行くために。
中空に弧を描く鳶の鳴く声が 静寂をさらに際立たせる。
この鳶も子供を育てるために野鼠を 懸命に探してるに違いない。
この環境破壊が人間の営みが原因とも知らずに。

田園の静寂が恐ろしい 畦道ですれちがう人もいない。
整った田は遠くに耕運機が見えるだけ 人の気配すらない。
水澄ましゲンゴロウも姿を見せない 農薬のせいか水の汚れか。
出会う女性は田園には 不似合いな金の指輪の細い指。
昔、農家はきつい労働を家族で補い 天から与えられた尊い糧を得た。
どちらが人間にとって本当の幸せなのだろうか。

人間の静寂が恐ろしい 国会は国民に負担を強いる法案が、次々となんなく通る。
浮沈空母のごとく 金まみれの政治の中で。
六,七十年代には静寂はなかった。挙って国会に押しかけた。
そして樺美智子は死んだ。美智子の霊は大きく空を舞っているに違いない。
「人間は幸になる為には そんなに静寂を守らなくてもいいのよ。
幸は与えられるのではなく 勝ち取るものよ。」と叫びながら。

宮崎 季喜